東日本大震災で原発事故が起きて以来、マスコミ報道が「反原発・脱原発」ムード一色になる中、原発継続を望む声も少数ながら上がり始めている。

24日付産経新聞に、葛西敬之JR東海会長の「原発継続しか活路はない」という論考が載っている。ポイントは以下の通り。

  • このままでは原発が1年余りのうちにすべて停止してしまう。
  • 火力発電や再生可能エネルギーは、質・量・コストいずれの点からも一部補完以上の期待はできない。
  • 原発は50年にわたる努力と数十兆円に上る設備投資の結晶。簡単に代替できるはずがない。
  • 原発を止めれば、電力供給の不安定化と電力単価の高騰を招き、企業の業績を悪化させ、経済の停滞、税収の減少、財政の悪化、国債の信用崩壊などの連鎖を招き、日本経済の致命傷となりかねない。
  • 今回得られた教訓を生かして即応体制を強化しつつ、腹を据えてこれまで通り原子力を利用し続ける以外に日本の活路はない。
  • 政府は稼動できる原発をすべて稼動させて電力の安定供給を堅持する方針を宣言すべき。今やこの一点に国の存亡がかかっている。

葛西氏が指摘するように、原発停止は日本経済にとって致命傷を与えることになる。従って、一度は原発を停止しても、結局、運転を再開せざるを得なくなる可能性は高い。

評論家の長谷川慶太郎氏も近著『東日本大震災 大局を読む!』(日下公人氏との共著)の中で、「時間が経てば、日本が原発推進という元の路線に戻るのは間違いない」と断言する。

であれば、電力需要の高まる夏に向けて、感情的な反対論の影響を受けて、原発を停止させてしまうのは、愚かな判断だと言えよう。

なぜ原発を推進する必要があるのか、なぜ日本が原子力への依存を高めざるをえなかったのか、冷静に議論する必要があるだろう。電力不足が原因となって経済をクラッシュさせてしまってからでは遅いのだ。(村)

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