来日中の英国原子力公社(UKAEA)のバーバラ・ジャッジ名誉会長が、「資源の乏しい日本は、原子力発電が必要」と、21日付産経新聞のインタビューで答えている。

バーバラ氏は、東京電力の福島第一原発事故で、あれだけの大規模な地震と津波でも建屋そのものは残ったことや、新興国が日本製の原発をほしがっていること、日本の原発が国際的にも高い評価を受けていることなどを指摘している。

一方、こうした評価をよそに、国内では大飯原発の再稼働をめぐって混乱し、まもなく国内の原発全54基が停止しようとしている。細野豪志環境相は20日、「クールビズ」を昨年に続き1か月前倒しで5月1日より開始すると発表。「夏に向けて節電への機運を高めていく必要がある」と述べた。

また、21日付朝日新聞によると、関西電力は夏の電気使用ピーク時間帯に限って料金を上げるなどの方法を検討しているといい、大阪ガスと共に6月分の家庭用料金を値上げする見通しという。1~3月の原油やLNGの平均輸入価格が上がったためということだ。

だが、電力を大量に必要とする製造業は、夏の電力不足で工場の操業がおぼつかなくなる企業も出てくるだろう。2011年の日本の燃料輸入額は21兆8000億円で、前年と比べて4兆4000億円も増え、GDP(国内総生産)の約1割が燃料輸入に消えたことになる(みずほ総研調べ)。

『原発「危険神話」の崩壊』(池田信夫著)によると、「(燃料輸入額の増加は)電力会社がLNG(液化天然ガス)を大量に購入したことが原因」で、原発を止めつつある日本は資源国から足下を見られており、アメリカの6倍の価格でLNGを購入させられているという。

本欄でもたびたび指摘してきたが、バーバラ氏も、エネルギー源を他国に依存すると国力が弱くなるとした上で、「日本は他国に命運を委ねるような道を歩むべきではない」と警告している。日本の国力を落とさないためにも、新興国の発展のためにも、国民は原発再稼働の声を上げていくべきである。(清)

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