福井県の大飯(おおい)原発の再稼動問題が話題になっているが、そもそも再稼動問題とは何だろうか?

きっかけはもちろん、昨年3月11日に起きた東日本大震災だ。このときの津波被害で福島第一原発で事故が起き、運転が止まってしまったことだ。

もともと原子力発電所は、約1年に1回、原子炉を止めて、定期検査を受けることが法律で義務付けられている(電気事業法)。一回の検査は3ヵ月くらいかけて行う。

通常なら、定期検査が終わって問題がなければ再稼動をするのだが、今回は福島原発事故による不安が高まっている中で、昨年5月に当時の菅直人首相が突然、静岡県の浜岡原発を止めるように要請し、中部電力が受け入れたところから、一気に原発停止の流れが広まった。

もちろん、浜岡原発が定期検査で何か問題が発生したということではなく、単に東海大地震が予測されているという理由で止めただけのものと思われる。

そこへ反原発の運動家が原発再稼動の反対運動を全国的に展開。テレビや新聞、週刊誌、書籍など、あらゆるメディアが反原発の論調で報じた。

こうして「原発再稼動=危険」といったイメージができ、本当は、再稼動するにあたっては、法的には地元の同意は必要ないのだが、実質的に地元の同意を取り付けなければ、原発を再稼動できないという状況になっている。

そうこうするうちに、全国54基ある原発が、次々と定期検査に入っていき、ついに5月5日には国内で唯一動いている北海道の泊原発3号機も定期検査にはいり、全原発停止という事態に直面する。

このまま原発の再稼動が認められないまま夏場を迎えれば、電力不足に陥る可能性がある。原発はもともと日本の総発電量の3割を賄っており、それがゼロになれば、コストの高い火力発電に依存せざるをえず、経済的にも大きなダメージを受ける。

節電すれば停電は回避できるという意見もあるが、「節電」自体が、経済活動を大幅に萎縮させることを考えると、安全性の確認ができている限り、迅速に原発の再稼動に向かうべきだろう。(村)

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2011年8月号記事 菅首相の脱原発による日本経済破壊を防げ 「今すぐ原子力発電所の再稼動を」 原発を救え!

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2012年2月6日付本欄 原発再稼動に高まるハードル 地元自治体の了解がより難しく

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2012年4月13日付本欄 大飯原発再稼働で問われる政府のエネルギー政策方針

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