政策研究大学院大学の大田弘子教授は15日付産経新聞のなかで、今回の震災復興は、急速な人口減少や高齢化、農業、漁業の担い手不足など、日本が以前から抱えていた課題を克服するための突破口にする必要があると提言している。

・ 被災地を「改革特区」にして、農業や漁業、医療などの分野で制度改革を断行。専業農家が生産性向上に取り組めるように、生産調整を廃止して大規模化を進める。漁業では、漁船の大型化や企業の新規参入を進める。

・ 電力市場を改革する。自家発電した企業や節約した企業が電力を売ることができるようにするなど、電力市場が整備されていれば、首都圏の電力不足はかなり緩和された。これまで電力会社は地域ごとの独占状態を維持してきたが、その体質が今回の危機管理の脆弱さや情報の隠蔽体質にもつながっている。これからは、全国の一つの電力市場とし、発電と送電を分離し、送電網は公的インフラとして新規の発電事業者に開放し、発電では競争を促すといった改革が必要。

・ TPP交渉参加を遅らせるべきではない。生産へのダメージに加え、原発事故による風評被害などを乗り越えるだけの成長戦略を打ち出さなければ、今後の資金調達に支障を来たしかねない。

大田教授は、これらの改革のポイントは、日本の類い稀な財産が存分に生かされるための環境づくりにほかならないとしている。

政府からの補助、保護のもとで自由競争から守られてきた産業など、日本にはまだまだ社会主義的な発想でつくられた制度が数多く存在する。今回の震災は、単に元通りにするという意味での復興で終わらせるべきではない。今後、あらゆる課題を乗り越え、さらなる成長を目指していくという姿勢を世界に示さなければ、日本は震災によるダメージそのままに長い低迷に入ってしまうだろう。(雅)

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