2日、クリントン米国務長官が上院外交委員会で「世界における影響力で中国と競っている」と発言し、危機感を示した。長官は資源獲得競争において、中国が太平洋諸国の指導者を取り込み、影響力を増していると指摘。また多言語放送について、中国やロシアが規模を拡大する一方で米国は縮小しており、情報戦でも米国が「敗北しつつある」とした。

中国メディアからは反発もあるが、この懸念は現実的なものだ。米国はアフガンに続く中東諸国の不安定化で負担が増え、アジア戦略が手薄になっている。一方で中国は、2年ぶりに2ケタの伸びを示した膨大な軍事費を背景にアジアでの覇権拡大を図る。中国の軍用機が日本領空に接近した回数は、昨年度は前年比1.5倍となる見通しで、2日にも中国軍機2機が、これまでにないほど尖閣諸島に接近した。

昨年12月、中国の外交担当の国務委員は、中国は米国に代わって世界の大国としての役割を引き継ぐことを望んでいない、との見解を示した。しかし米国の影響力が低下する中、少なくともアジアにおいて、中国は米国に代わる覇者となろうとしている。日本がこの競争に加わり、しかも勝つなどということは、菅政権には望むべくもないのだろうか。(由)

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