欧州連合(EU)は25日、域内の原発143基のすべてについて安全性検査(ストレステスト)を実施する計画を発表した。検査基準としては、地震、洪水、竜巻などの自然災害、航空機事故やテロ攻撃などの人為的な被害、非常用電源が失われて冷却システムが停止した場合のバックアップ機能などが挙げられており、今回の福島第一原発事故を教訓とした項目が多い。テロ攻撃を想定した対策については、内容を公表するかどうか検討中だ。6月1日から各原発事業者がまず検査を行い、次に各国の規制機関がその内容を検証、最後に加盟27カ国がつくる欧州原子力安全規制機関グループがテストするという3段階で実施される。

欧州では原発を全廃しているオーストリア、福島原発事故後に脱原発を表明したドイツに続いて、25日にはスイスも2034年までの脱原発を宣言した。また、日米仏ロ韓独中の7カ国を対象とした原子力発電の利用に関する世論調査(26日付朝日新聞)では、賛成が反対を上回った国は米仏中の3カ国で、事故前の5カ国から減少する結果となっている。

しかし、ヒステリックな脱原発が世界に広がれば、今後の世界のエネルギー供給は困窮を極めるだろう。太陽光発電をはじめとする自然エネルギーへのシフトが叫ばれているが、「原発一基分を太陽光で賄うには、山手線の内側全体に相当する面積に太陽光パネルを敷き詰めなくてはいけない(5日付読売新聞)」など、その発電効率やコスト面、天候などさまざまな課題が山積しており、原発に換わる発電力を期待できる段階ではない。

さらに、中国やインドなどはエネルギー消費が飛躍的に増えていくことが予想されており、この状況で世界が原発を手放せば、石油燃料を巡る各国の対立が深刻化する可能性が高い(中国は今でも発電量の7割を石炭に頼っている)。

原発の利用を続けるか否かという選択肢は、現実問題としてはありえないことを日本政府は自覚しなければならない。必要なのは、今回の事故の原因を正しく検証し、安全性を高めるための努力と工夫を積み重ねていくことだ。(雅)

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