旧約聖書に出てくるノアの洪水からちょうど7千年後に世界は終わる。その日は2011年5月21日、つまり今日だ――。アメリカ各地ではここ数日、そんな終末論を信じる人々が何千人も街に繰り出し、聖書を配りながら世界の終わりを説いて回った。21-22日付米紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンの記事から紹介する。

  • 彼らが信じているのは、独学で聖書を研究し、自らのラジオ・ネットワークで自説を広めているハロルド・キャンピング氏の予言である。キャンピング氏の計算によれば、聖書に記された最後の審判の日は5月21に訪れる。それを信じる人々はこの日、一気に天国に引き上げられ、信じない人々は続く5ヵ月の間、疫病、地震、戦争、飢饉などに苦しみ、10月21日に最終的な世界の終末が訪れる。

  • キャンピング氏は1992年にも、終末は1994年に起きると予言したことがあり、予言が外れたことで批判を浴びた。同氏によれば、その後、新たな計算根拠が見つかり、今年こそ予言が成就するのだという。

  • オレゴン州立大学のキャンベル教授(宗教・文化専攻)によれば、こうした「世界の終わり」(end times)運動は2000年1月1日といった節目の数字の日や、急激な社会的危機の時期にしばしば起こる。「昨今は竜巻、地震、津波が多発しており、アメリカは3つの戦争に巻き込まれていて経済的にも不確実な時代にある。こうした社会的、政治的、経済的な激動の時代には、人は何らかの権威ある答えを探し求めている」

世の乱れを批判し、「このままでは危機が来る」と警告するのは宗教の役割の一つだが、「信じる者だけが救われ、信じない者は滅びる」という恐怖を強調した場合は邪教性が強まる。幸福の科学は「いつ終末が来る」とか「信者以外は救われない」といった決定論はとらず、「間違った原因行為をやめて善い原因を積み重ねれば、時間と共に、個人にとっても世の中にとっても善い結果が現われる」という仏教的な因果の理法(原因・結果の法則)の立場をとっている。何の努力もしなければ事態はよくならないが、正しい努力をする人が増えることで、未来は必ずや切り開いていけるのだ。(司)

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