ロシアのイワノフ副首相が率いる政府の視察団が15日、北方領土の択捉、国後両島を訪れた。経済や資源担当の閣僚や、約10省庁の代表などが参加する異例の規模の視察団である。

副首相らは、両島の港湾や空港を訪れ、開発の進捗状況を確認。今後の計画の主要課題が、「交通インフラ整備」「エネルギー発展」「社会生活向上」の3つであることを掲げ、サハリン州のホロシャビン知事は、2015年までの開発予算が現行の倍以上にあたる310億ルーブル(約890億円)に増額されることを明らかにしたという。

ロシアの政府要人が北方領土入りするのは、東日本大震災後初めて。しかし、昨年11月にメドベージェフ大統領が国後島に訪問して以来、国防次官や地域発展相など少なくとも4人の要人が両島を訪問しており、今回は5回目となる。

ロシアは震災で、日本に救助隊や物資を送ってきたが、その一方で、空軍の戦闘機が日本領空に接近するなどの偵察行為も行なってきた。震災の復興で日本が大変なときに、北方領土に上陸するなど非常に失礼な話だが、ロシアにとっては「格好のチャンス」に他ならない。

尖閣問題や核・ミサイル実験問題などの横暴な振る舞いを考えれば、菅政権は当然、中国や北朝鮮が、いつ何時、手薄になった防衛のスキをついて日本のどこかの島に上陸するという侵略の危険性も考慮すべきだ。

菅首相は浜岡原発の停止要請の理由について、「国民の皆様の安全と安心を考えてのことであります」と力強く語った。その気持ちに偽りがないのであれば、普天間基地移設の迷走で亀裂の入った日米同盟を一刻も早く修復するとともに、自衛隊の国防能力の強化を進めなければいけない。(格)

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