14日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙によれば、反政府運動に揺れるチュニジアやリビアなどの北アフリカ国家からヨーロッパに流れ込む移民問題で、EU内に深刻な不和が生まれている。以下、要約。

・EU諸国にとって、EU内の経済政策よりも、リビアやアラブ世界への対処問題よりも、今いちばん意見が割れているのが北アフリカからの移民問題である。

・北アフリカから何千人もの移民がヨーロッパにやって来る最初の地点はイタリアのLampedusa島だ。EUの取り決めでは、移民が最初に入ってきた国家が彼らの身分(移民として認めるか否かなど)を決める責任がある。イタリアとマルタはこの取り決めを撤回してもらいたがっているが、EUは拒否している。

・ドイツは、イタリアが自国で移民問題を取り扱うべきだとしてイタリアを非難している。

・ヨーロッパ諸国では、ここに来て外国人に対する嫌悪やナショナリズムの再燃が始まっており、各国政府は新たな移民の流入にきわめて神経を尖らせている。EUがリベラルなモデルを目指してきたことや、労働力として移民を必要としていることに対する、苦しい自己矛盾が生じている。

ヨーロッパ地元民に比べて経済力も教養も一般に低く、生活習慣も違い、何より宗教が違う(イスラム教)北アフリカ移民の大量流入が、もともと基盤の脆弱なEUの結束を弱めている。引き続き移民問題を注視したい。(司)

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