福島第一原発事故の影響を調べていた東京大学の研究チームはこのほど、福島県民など約3万3千人におこなった内部被曝検査で、昨年3月以降、99%の受診者の体内から放射性セシウム137が検出されなくなっていることを発表した。やはり、福島は安全だ。

同大学の早野龍五教授(物理学)らのチームは2011年10月から12年11月までの間、福島県内の病院でホール・ボディー・カウンターと呼ばれる装置を使い、福島や茨城などの県民3万2811人を検査した。その結果、12年2月までは初期被曝の影響が見られたが、同年3月以降、99%の受診者の体内から放射性セシウム137が検出されなくなった。15歳以下の子供1万237人に限ると、同年5月以降に検出した人数はゼロ。早野教授は「内部被曝が低い住民だけを抽出した結果ではないので、信頼できる数字だ」(11日付日経)と話している。今回の調査結果は、福島の原発事故の影響で白血病にかかる心配がないことを示している。

だがこの事実は、早くから、放射線防護学の第一人者である高田純・札幌医科大学教授が指摘していた。原発事故から3カ月後の2011年6月、弊誌は、高田教授が福島入りして南相馬市や飯舘村で実施した調査に同行取材。同教授が南相馬市のホテルで現地の人々を調査した結果、強いセシウムは出なかった。その後、教授は同年9月までの検査結果をまとめ、「福島第一原発事故が原因で白血病になる人はいない」と結論づけた。

事故当時、菅直人・民主党政権やマスコミが「放射線の恐怖」を煽ったため、現在も15万人を超える福島県民が県内外で避難生活を続けている。だが、マスコミなどが「危ない」という根拠は、放射線の細胞レベルでの影響を見て過剰に騒ぐ放射線物理学系の学者や、原発嫌いの左翼学者の意見であり、本来は、人体への影響を正しく語れる放射線防護学・生物学・医学などの専門家の意見が重要だ。ある放射線医学の専門家は「1mSvや10mSvの被曝は、問題になる量ではありません。個人的には、年間400mSvでも大丈夫だと考えています。過度のストレスやタバコの方がよっぽど怖い」と話す(下記の5月号関連記事参照)。

「放射線の恐怖」を煽った政府やマスコミは責められるべきだが、福島の人々も今回のような調査結果を冷静に受け止め、恐怖心から自由になり、積極的な未来を描く方向に思いをシフトしてほしい。(格)

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2013年5月号本誌記事 福島は安全だ 今すぐ我が家に帰ろう -反原発にだまされるな-

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2013年4月10日付本欄 経産省が今夏の電力需給見通しを発表 安定した電力供給で経済成長を支えよ

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