経済産業省は9日、今夏の全国9電力の需給見通しを正式発表した。電力の最大需要に対し、どの程度の供給余力があるのかを示す「供給予備率」は、全国平均で6.3%(安定供給の目安は3%)となった。これによりピーク時も電力を確保できるめどがたったため、政府は東日本大震災後初めて、節電の数値目標を設定しない方向で検討に入った。

需給見通しは、猛暑だった2010年並みの電力消費量を想定して算出。さらにアベノミクスで景気が上向くことによる需要増加を織り込んだ。原発については、現在、国内で唯一稼働中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県)のみが稼動すると仮定した。仮に、この大飯原発が停止しても、全国の供給予備率は4.9%ほどになるという。よって、火力発電のフル稼働、節電の推進、電力会社同士の電力の融通をうまく行えば、具体的な節電目標を定めずに済み、また「原発ゼロ」でも、今夏の電力供給が滞ることはないと見られている。

しかし、不測の事態も起こりうる。景気回復による電力需要の増加量を予測することは容易ではない。火力発電所に関しても、各社とも定期検査を先延ばしにしたり、稼動年数が40年を超える老朽化したものを稼働させたりしており、いつトラブルで予想外の停電が起きてもおかしくはない状況だ。

原発停止によって火力発電の割合が増えているが、火力発電に必要な燃料価格は円安の影響で高騰を続けている。燃料費の増加は、基本料金の値上げとは別に、「燃料費自動調整制度」により電気料金に反映される仕組みになっており、利用者の負担が増えている。一方で、原子力発電なら、少量のウランで大量に発電することができるため、発電効率がよく、コストパフォーマンスが火力に比べて格段に良いのが特徴だ。

十分で安定的な電力供給は、企業の生産能力を高め、経済成長を実現する基盤だ。過度の節電は企業の生産能力を低下させ、個人の消費意欲にも悪影響を与えると言われている。火力や節電、融通頼みではなく、安全性が確認された原発から動かしていくことが必要だ。政府や公企業である電力会社は、十分な電力を確保できるような政策を推し進め、国民により自由でより活発な経済活動の場を提供すべきだ。(原)

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