福島県は10月1日から18歳以下の県民の医療費無料化を導入した。東京電力福島第一原発事故による健康不安や人口流出に対応するのが目的。都道府県単位で18歳以下の医療費を無料化するのは初めて。福島県の人口転出超過の原因は、民主党政権の放射線規制の誤りが風評被害を助長し、健康不安を煽っているからだ。

放射線防護学の第一人者である高田純・札幌医大教授によれば、立ち入り禁止の警戒区域であっても科学的には帰還困難な場所などはなく、放射能によって健康被害を受けることはないという。一部に年間の被ばく線量50ミリシーベルト程度の放射線量が高い場所があるが、住民はその場所に24時間いて生活するわけではないので、実際の被ばく線量はほとんど人体に影響のないレベルだ。

1日付朝日新聞は、福島県内の5市町村で緊急時避難準備区域が解除されて1年が経ったが、帰還者が11%にとどまっており、さらに除染が必要だと主張している。しかし警戒区域の外側のこの5市町村では放射能が問題となる場所はない。そうした認識が持てないのは、メディアがさんざん「放射能の危険性」を煽って、故郷を奪ってきたからだ。

農水省はこのほど、9月15日現在の水稲の作柄概況を公表した。それによると、福島県の作況指数は、「やや良」の103で、全国平均の102を上回る豊作が予想されている。10月1日から食品に含まれる放射性セシウムの新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)が、コメと牛肉にも適用になったが、こうした過度に慎重な規制値が新たな風評被害を生む可能性は高く、規制値そのものを再検討する必要がある。

医療費を無料することは県民の不安を解消する面もあるだろうが、逆に「福島は健康に不安がある地域だ」という誤ったイメージを与えかねない。正しい放射線の知識の普及による冷静な判断こそが求められている。(静)

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