政府は30日の持ち回り閣議で、衆院で審議中の2011年度の子ども手当法案を取り下げることを決定した。衆院は31日の本会議で子ども手当法案の取り下げを承認する。

子ども手当法案では、11年度から3歳未満の子供に対する支給額を現在の月1万3千円から月2万円に引き上げることが柱とされていた。

だが、同法案に自民・公明両党が反対し、ねじれ国会での成立は厳しいと見られることから、民主党は、4月の支給に間に合わせるため、現行の子ども手当(15歳以下の子供に月1万3千円支給)を半年間延長する「つなぎ法案」を提出。29日の衆院本会議で賛成多数で可決され、参院に送付されていた。しかし、参院で過半数を占める野党は、子ども手当法案を取り下げなければ、つなぎ法案の審議・採決に応じない姿勢を示していた。

今回の閣議決定を受け、参院厚生労働委員会、参院本会議で31日審議・採決する見通しだ。

この3歳未満の子供への増額見送りによる捻出額は、東日本大震災の復興財源に充てる方針だ。しかし、その額は2085億円に過ぎない。23日に内閣府が発表した試算によると、インフラの被害額は16~25兆円にのぼる(ただし、福島第一原発事故や計画停電の影響は含まれない)。現行の子ども手当にかかる総額は約2.2兆円である。そろそろ子ども手当というバラマキ自体を問題にするべきではないか。(吉)

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