ついに復興財源として所得増税の案が浮上してきた。

政府内で所得税額に一律10%上積みをするもので、3~5年間の時限措置として実施する案が出ている。30日付日本経済新聞などで報じられている。

本欄で何度も指摘してきたが、震災後の増税は、消費税にしろ、所得税にしろ、日本経済にさらなるダメージを与えるだけに終わる。

しかも今回の案では、1兆円あまりの税収にしかならない。それでは10兆円以上は必要とされる復興資金の財源にはなりえないし、さらなる財源が必要になる。

結局、国債の発行をするほかないはずだ。SAPIO4月20日号では、独協大の森永卓郎教授が、30兆円規模で無利子・無記名の国債を発行すべきだと提言している。

このままマニフェストの見直しや、結局は反対されるであろう増税の議論をするのは、時間の無駄であり、これ以上国の借金を増やしたくないという財務省の思惑に振り回されているようにしか見えない。今の民主党政権にリーダーシップが欠如していることの何よりの証拠だろう。

それにしても、この時期に所得税の増税を図るとは、強制的義援金のつもりなのかもしれないが、消費や投資を喚起しなければ復興はありえないという経済の基本原則を無視した発想であり、その経済センス、経営センスのなさにあきれるばかりだ。(村)

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