中国の警察官が国内でパトロール!? 一帯一路の戦略的拠点ハンガリーの教訓【チャイナリスクの死角】

2026.04.29

国際政治学者

佐久間 拓真

(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。

欧州の東側に位置するハンガリーは、中国による「経済的侵略」の最前線として注目されてきた。

同国が長年掲げてきた「東方開策(イースタン・オープニング)」は、欧州連合(EU)加盟国でありながら中国との蜜月を深めるという、極めて異例かつ野心的な外交方針であった。

しかし、この政策がもたらした果実は、単なる外資導入の成功に留まらない。EU内部に中国の強い影響力が及ぶ「空白地帯」を生じさせ、欧州全体の安全保障と経済秩序に重大な死角を突きつけているのである。

かつて一帯一路の戦略的拠点として期待されたこの関係は、今やハンガリーの国家基盤を中国の経済圏へと塗り替え、EUという強固な防波堤の内側に「トロイの木馬」を招き入れたも同然の状態に変質しつつある。

ハンガリーにおけるチャイナリスクの最大の特徴は、インフラ整備から先端産業のサプライチェーン、さらには国家の根幹である治安維持に至るまで、多層的かつ不可逆的な依存関係が構築されている点にある。

鉄道プロジェクトに巨大EV工場建設……

その象徴的プロジェクトが、中国の巨額融資によって建設が進められている「ブダペスト・ベオグラード鉄道」だ。この鉄道は、中国が買収したギリシャのピレウス港から欧州内陸部へと中国製品を高速輸送するための物流網の要となるが、その契約プロセスの不透明さは国際的な批判を浴び続けている。

巨額の債務を伴うこの事業は、将来的な「債務の罠」を誘発する懸念を孕んでおり、ハンガリーの財政的な自律性を奪う足かせとなりかねない。

さらに、世界最大級の車載電池メーカーであるCATLが東部デブレツェンに巨大工場を建設するなど、ハンガリーは中国製電気自動車(EV)産業の欧州における「聖域」としての地位を固めている。これは一見、地域経済を牽引する恩恵に見えるが、実態は欧州の次世代産業の供給網を、中国資本が内側からコントロールする構造を完成させているのである。

中国の警察官が国内でパトロール

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タグ: 中国  警察  佐久間拓真  チャイナリスクの死角  債務の罠  サプライチェーン  一帯一路  ハンガリー 

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