ベトナム外務省は29日、記者会見を開き、南シナ海の排他的経済水域(EEZ)内で、活動中の資源探査船が、中国船に調査用ケーブルを切断されるなどの「主権に対する重大な侵害」があったと発表。ベトナム政府は中国大使館に抗議し、損害賠償を請求した。

事件が起きたのは26日。ベトナム中部フーイエン省の沖合約120カイリ(約220キロ)の海域で、石油や天然ガスの調査をしていた国営石油会社「ペトロベトナム」の探査船に、中国の監視船3隻が近づき、探査船が水中に伸ばしていた調査用ケーブルを切断。中国船は「ベトナム側が中国の領海を侵犯した」と警告して立ち去った。

この地域には豊富な海底資源が眠っていることもあり、以前から、中国は南シナ海のほぼ全域の主権を主張し、西沙・南沙の両諸島の領有権を争っている。

日本から少し遠い海域での出来事だが、この問題は日本人も注視する必要がある。なぜならば、この海域は、日本に入ってくる資源や食糧の多くが運搬される重要なシーレーン(海上交通路)であり、中国がここを支配すれば、日本は中国に生殺与奪の権を握られたも同然になるからだ。

ベトナム政府はこの事件を公表することで国際社会に訴えかけた。対照的に、日本の菅政権は昨年9月の尖閣事件で、中国人船長を釈放するなどして完全に中国に屈している。

6月3日からシンガポールで開催されるアジア安全保障会議では、南シナ海の摩擦が議題にのぼる予定で、北沢防衛相も出席するが、日本は米韓や東南アジア諸国と連携して、中国の横暴な行動に釘を刺すべきである。(格)

参考記事:2010年11月号「201X年 日本再占領!?」 中国軍事専門家・平松茂雄氏インタビュー「沖縄に中国軍が駐屯する」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=75

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