月に氷が初めて発見されたのは数年前だが、水も存在するのではないかとさまざまな見解が発表されてきた。今回、さらに水が存在する可能性を高める研究成果が発表された。

AFP通信によると、研究発表が掲載されたのが26日の米科学誌サイエンス電子版「Science Express」。月にはこれまで考えられた以上の水が存在し、場所によっては地球と同程度の水がある可能性さえあるという。

研究チーム(米ケース・ウエスタン・リザーブ大学、米カーネギー研究所、米ブラウン大学の研究者からなる)は、1972年のアポロ17号が月面で採取した「オレンジソイル」(オレンジ色の土)をイオン・マイクロプローブで分析。この土は37億年前の月の爆発的な噴火で生じた溶岩の一部で、内部に水分が蓄えられているという。

ケース・ウエスタン大学の地質学者ジェームズ・ヴァン・オーマン教授は「水量からみて、月の内部は地球とよく似ている」とのことだ。このことが月の形成過程の考え方にも影響を与えている。特に「ジャイアント・インパクト説」(月は地球と他の天体との衝突によって飛散した物質が地球周回軌道上で集積してできたとする説)は疑問視され、地球と月が同じ起源であるという「親子説」のほうに一致点を見ることとなる。地球が回転し始めたときに、太平洋ぐらいの容積が月として飛び出たことを裏付ける研究成果といえるだろう。

月面の水の存在により、人類にとっては月基地建設、月移住の可能性をより高めると同時に、すでに月面に住んでいるといわれるさまざまな宇宙人たちの基地の存在も裏付けることになるだろう。いろいろな意味で興味深い発表だ。(ア)

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