人権弾圧の改善を求める米国に対し、中国がそれを拒否するばかりか、新たに人権派弁護士を拘束するなど、「米国には屈しない」姿勢を見せつけていることを、5日付の読売新聞が報じている。

記事によると、4月27日、28日に北京で開かれた米中人権対話で、米国側は、身柄を拘束されている北京五輪のメーン会場「鳥の巣」の設計に携わった芸術家の艾未未氏などを含めた人権活動家や弁護士の名簿を提示し、釈放を要求。しかし、中国側はこれに応じず、米国側が求めていたノーベル平和賞を受賞した民主活動家の劉暁波氏の妻・劉霞さんとの面会も実現しなかった。

また、対話直後の29日には、中国はこれ見よがしに、粉ミルク汚染事件などの弁護を手掛ける著名な人権派弁護士の李方平氏を拘束。同紙は「『米国の圧力に屈しない』という強硬姿勢を見せつける意味がある」という外交筋の分析を紹介している。

中国がこうした強気な態度に出られるのも、経済・軍事ともに驚異的な拡大を続ける一方で、米国が国内経済の立て直しを優先して軍事費の削減を進めているからだ。これは、「世界の警察官」が減って“空き交番”が増えた地域に、「暴力団」が幅を利かせ始めたことを意味する。その警察力に頼ってきた日本は、少なくとも“家に鍵をかける”という形での最低限の国防の強化を進めなければいけない。(格)

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