中国が2007年から進めてきた高速鉄道(新幹線)の整備計画が急速に勢いを失いつつある。

計画を強力に進めていた劉志軍前鉄道相が汚職疑惑で2月に更迭されたことを受け、当初予算を大幅に削られる見通しとなった。3日付産経新聞が報じている。

今年の当初予算は7千億元(約8兆7500億円)だったが、約43%減の4千億元にまで削られる。

中国の新幹線は、わずか3年で8358キロも敷設され、今年末には1万3千キロ、15年には2万5千キロに伸ばす計画だった。

このスピードでの建設が可能かどうかは別として、国の経済成長に高速鉄道が果たす貢献は計り知れないものがある。それは日本で戦前に鉄道網を張り巡らせ、戦後は新幹線を開通させたことで高成長を実現した実例を見れば分かる。今回の計画縮小は、中国の経済発展の勢いを減速させる可能性が高い。

また、今回の計画見直しでは、新幹線の最高時速を現在の350キロから300キロに落とすというが、これは安全性の確保の観点から必要な措置だと言える。300キロでも十分な速さだし、6月に開通予定の北京-上海間が5時間前後で結ばれることは、大きな経済効果をもたらすはずだ。

今回の計画縮小が、本当に一幹部の汚職だけが原因だとすれば、中国経済にとって目に見えない損失をもたらすだろう。(村)

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