福島第一原発による放射能被害が、菅直人首相が言うように「10年、20年住めない」というレベルなのか、さまざまなメディアや専門家が疑問を表明している。

産経新聞は29日付1面で、「東京の地表から検出される放射能の量は1960年代と同水準」と報じた。アメリカや旧ソ連による核実験の影響によるもので、1963年に、1カ月で1平方メートル当たり550ベクレルを検出。事故後の東京は1カ月で数百ベクレルだという。「放射線医学総合研究所」は「このレベルの放射性物質が健康に影響するなら、50~60年代を生きた世代のがん発生率や死亡率が他の世代に比べ高くなっているはずだが、そうした統計的なデータはない」と説明している。

4月27日付ニューズ・ウィーク日本版でも「チェルノブイリと同じレベル7」という基準自体が福島原発の危険度を見誤らせると指摘している。チェルノブイリの放射性物質の放出量は520万テラベクレル。福島第一原発は37万テラベクレル(原子力安全・保安院の試算)。10分の1以下ということになる。

しかし、国際原子力機関(IAEA)などがレベル7を「ヨウ素131で数万テラベクレル以上の外部放出」と定義しているため、同じ被害レベルに位置づけられてしまっている。

つまり、福島、チェルノブイリともに深刻な事故ではあるが、大雑把な基準すぎて危険性が見えなくなっているのだ。しかも、水素爆発で2号機の建屋が損傷した際、最大で毎時1万テラベクレルが外部放出された後は、その1万分の1に減っている。実際、チェルノブイリでは重傷129人、死者28人。福島は重症・死者ともゼロだ。

福島原発が「レベル7」であるならば、チェルノブイリは「レベル8」とか「レベル9」という、より上の基準をつくり出さなければならない。

福島はもう人が住めないかのような報道被害に対する“免疫力”をつけていきたい。(織)

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