中小企業向け融資の公的部門の依存度が急速に高まっている。

28日付日経新聞が分析したもので、10年9月末の段階で中小企業向けの貸出残高は約252兆円だが、うち政府系金融機関が約26兆円で、実質的な政府保証である信用保証協会の保証制度の利用分が約35兆円にのぼる。合わせて約61兆円となり、全体の24%が公的部門での融資ということになる。

これは、明らかに民間の金融機関が仕事をしていないと断言してよいだろう。日銀の統計によると、97年に493兆円だった国内銀行の貸出金は、2010年に420兆円に激減。その間、代わりに激増したのは国債の保有で、97年の31兆円が2010年に146兆円となっている。ちなみに預金はその間100兆円以上増えている。

つまり、銀行は企業への貸付をやめて国債を買っていることになる。いつから銀行はファンド会社になったのだろうか。預金者から集めたお金を、民間企業に貸し出して、経済活動を活発化させることが銀行の本来の使命のはずだ。その使命を果たさないのなら、産経新聞の編集委員の田村秀男氏が本誌4月号で主張するように、「民間企業に貸し出さない銀行には資産に課税すべき」と言いたくなる。

業界を挙げての貸し渋り体質は、即座に改めていただきたいところだ。(村)

【参考記事】日中再逆転 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1418

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