内閣府は21日、月例経済報告に関する関係閣僚会議で、原子力発電や水ビジネス、鉄道などのインフラ輸出で、国内への経済効果として2020年までに23兆円、60万人の雇用が見込まれるという試算を示した。だが一方で、最近は、日本が輸出攻勢をかける中東諸国で民主化要求の反政府デモが広がり、日本の政府・企業が各国政府と進めていた計画の行方が不透明になり始めている。三井物産はエジプトで進めていた水ビジネスの営業活動を控え、三菱重工業が仏企業とヨルダンで進めていた原発施設の選定も延期される見通しという(参考:1月22日付け読売新聞朝刊)。

今後も、日本の高い技術力の海外展開が必要であることは間違いない。だが、民主党政権が大きく見落としている点がある。それは、日本国内のインフラ整備を進めることだ。たとえば、JR東海は東京-名古屋-大阪間に開通させるリニア新幹線を、自己資金5兆円超でまかなう予定だ。こうした国民の生活を豊かにしたり、新たな雇用や収入を生む国内の事業に、政府はもっと投資すべきである。

また、投資はインフラに限らず、宇宙・航空、海洋開発、ロボット産業など、将来的に国の大きな産業の柱(基幹産業)となり得る分野を育成する必要がある。基幹産業となっている自動車産業は、関連サービス部門も含めて、働く人は500万人以上、世界で約600兆円の市場規模(国内は100兆円超)にのぼる。(リバティ参考記事:「1000万人の雇用計画」 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=862

アメリカでも2月16日、フロリダ州知事が、日本政府とJR東海が働きかけていた高速鉄道整備計画の予算受け取りを拒否する方針を示したが、日本政府は「海外リスク」を最小限にとどめる努力を行うと共に、日本国内での「内需拡大」を積極的に進め、未来への投資を行わなければならない。(格)

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需給ギャップ20兆円に拡大