2011年10月号記事

保存版 200号記念 総力特集「宗教」第2部

ガチンコ論争「お答え」編

白鴎大学大学院教授  石村 耕治 インタビュー

【宗教とカネ】

宗教活動にも課税すべきでは?

世界の笑い者になります

石村 耕治
(いしむら・こうじ)1948年青森県生まれ。米イリノイ大学ロー・スクール修了、豪モナシュ大学ロースクール修了。税法、非営利法人法制・税制専攻。主な著書に『日米の公益法人課税法の構造』(成分堂)、『宗教法人法制と税制のあり方』(共著、法律文化社)がある。

課税というのは、お金を通じた公権力の行使です。 したがって、宗教活動への課税は、宗教に対する公権力の介入を戒めている日本国憲法に反して弾圧になり、信教の自由が侵されてしまいます。

世界のどの国も宗教には配慮しており、本来の宗教活動に対して課税する国は、欧米に限らずおそらくどこにもないでしょう。宗教団体でも、収益活動をすれば課税されますが、 本来の宗教活動の部分に課税などしたら、世界の笑い者になります。

宗教課税論の背景は"嫉妬"

宗教への課税論が出てくる背景には、やはり〝嫉妬〟があるように思います。

例えば、新宗教の中には、マネジメントがしっかりしていて、成功している教団もあります。アメリカのように、市場での淘汰は当たり前というコンセンサスがある社会ならいいのですが、日本のように「宗教者は清貧であるべき」という意識が強いと、経営感覚のありすぎる宗教への批判や嫉妬が出てきやすいのでしょう。「宗教のくせに経営がうますぎるじゃないか」「お金が集まってるじゃないか」ということですね。国民になじみのある伝統宗教はマネジメントができていないところが多いことも、関係しているかもしれません。

マスコミが作るイメージもあるでしょう。例えば、私立大学は補助金をたくさん受け取っているのにあまり批判されない。一方、補助金一切なしでやっている宗教は批判されやすい。この辺の公平さの問題はあります。

また、宗教活動に課税する国はありませんが、宗教が政治に進出することをどうとらえるかは国によって違います。国ごとの政策の問題だと思いますが、私個人としては、宗教が政治活動をするにしても、会計や施設などを分離させたほうが、世間の信用を得られていいのではないかと思います。

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