米ワシントン・ポストのコラムニスト、デビッド・イグネシアス氏が28日付(ウェブ版)で、「アラブの春」に対して悲観的な見方を示している。

以下は、そのコラム「復讐の気配がアラブの春を汚す」の概要。

  • 「復讐、それは最初は甘く、やがて苦い味に変わる」。ミルトンの『失楽園』のこの警句からアラブの独裁制から民主制への移行を考えたい。
  • 革命の歴史における最も危険な過ちは、旧体制への恨みを晴らすことだ。最近のエジプトではその雰囲気がある。新体制はムバラク前大統領やその息子たちを告訴するだろう。判決は死刑だろう。
  • 独裁下にあったアラブ諸国にとって必要なのは、復讐をしないよう法の支配を打ち立てることだ。法による権利保護の枠組みは民主制と同様に重要で、ハミルトンらアメリカの建国の父たちが200年以上前に警告した通り、枠組みの作り方によっては大衆の暴走を招き得る。
  • 民主化革命後のエジプトは、キリスト教徒とイスラム教徒が対立し、ムバラク一族への復讐心が高まっている。
  • 南アフリカやルワンダは成功しているわけではないが、和解を目指して法の支配を確立し、復讐の衝動を抑制した。
  • そういう法制度を作ることに失敗すると、悲惨な結果になる。フランス革命は、公安委員会がギロチンで大量粛清を行い、イラン革命では、狂信者がホメイニ師に忠誠を誓わない人たちを粛清した。
  • こうした移行プロセスはシリアで起こりやすい。シリアでは支配階級のアラウィー派と多数派のスンニ派が対立している。
  • 「アラブの春」が前進していく中で、新しい革命家たちは安定的で寛容な未来を築かなければならない。しかし、その“映画”にタイトルをつけるとしたら、「血は必ず流れる」だ。

今後のアラブ・中東の民主化は、流血の事態を免れず、フランス革命型に近づいていくという予測だ。確かに、寛容の精神が保たれ、法の支配が確立する形で革命が成就したのは、アメリカの独立革命や、日本の明治維新ぐらいしかない。その背景には、世界的にも高いレベルの教養人の一群があった。

大川隆法・幸福の科学総裁は今年2月の法話「セルフヘルプと愛国心」でこう指摘している。「国としての体制も必要だが、何よりも国民の向上心、教育、学問への情熱が自分の人生の未来を開き、国の未来を開いていくという確信がないとよくならない。これを見落としたら、エジプトも他の国々も混沌状態に陥り、脱出口がなくなる」

このたびのフランスでの主要8カ国首脳会議で、アラブ・中東民主化への改革支援を打ち出したが、日本のスタンスは、教育面や人材養成に力点を置いたものでなければならない。(織)

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