政府は工場建設に関する規制を大幅に緩和する。22日付日経新聞で報じている。

国内の工場立地件数はこの数年で大幅に減少し、ここ10年ほどでは2007年の1791件をピークに、2010年は786件と3年間で半分以下に落ち込んでいる。

昨今では、円高や東日本大震災の影響もあって、工場の海外シフトも進みつつある。そこで、今夏にも工場立地法の省令を改正するなどして規制を大幅に緩和し、国内での工場新設を促すことになった。

規制緩和の内容は、工場の緑地化義務を軽減し、敷地面積の20%以上を緑地にしなければならない現行の規制を、最低5%まで下げられるようにする。

また、工場建設時の土壌汚染の対策の規制も緩める。

これまで工場建設に関する規制緩和は、都市部への工場新設を制限していた「工場等制限法」が2002年に廃止され、工場集積地区から集積が低い地域へ工場を移転・新設する際に補助金で支援する「工場再配置促進法」が2006年に廃止されるという形で進んできた。

今回、いわゆる工場三法の残りの一つである「工場立地法」も、規制緩和の対象になった形だ。

工場立地件数は、1989年には4157件、1969年には5853件あった。かつての製造立国としての勢いは完全になくなっていると言える。その後、立地件数は、2002年に844件まで減少。しかし、工場等制限法の廃止の影響もあって、その後は順調に立地件数が拡大していた。それがサブプライムショック以降、再び減少に転じていたため、立地件数を増やすために、さらなる規制緩和が求められていた。

工場の海外移転を防ぐためにも、こうした規制緩和は歓迎したいところだ。(村)

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