5月13日の枝野幸男官房長官の発言に銀行側から反発の声が上がっている。

枝野官房長官は、東京電力に公的資金を注入するにあたって、東電に融資している金融機関に債権放棄を促す発言をしていた。その際に、「原発事故のリスクというのも広い意味では、当然のことながら考慮に入れて融資がなされるのがマーケットの基本だ」と述べている。しかし、今回の原発事故は、天災によるものであり、融資の時に、10メートルを超える津波が襲ってくる可能性を考慮に入れるなどというのは不可能だ。

三菱UFJフィナンシャル・グループの永易克典社長は、16日の会見で「非常に唐突感、違和感がある」と反発し、「(債権放棄に応じるのは)かなり難しい」と述べている(17日付朝日新聞)。

当然の反応だろう。枝野官房長官の「銀行責任論」はヤクザでもつけないような因縁をふっかけたようなものであり、政府の責任を銀行になすりつけようとしているのだろう。

格付会社のムーディーズ・ジャパンは、金融機関が枝野発言の通りに債権放棄に応じた場合、金融機関の格付けを下げる方向で検討すると言っている。格付会社の格下げは自体は大きなお世話であり、まともに受け取る必要はない。しかし、金融不安を煽ることになるため、望ましいものではない。

菅政権は、原発事故で放射能漏れの危険を煽り、原発停止で電力供給不足の不安を煽り、そして今度は金融システムの不安を煽ろうとしている。政府の役割は、国民に安心を与えることであるはずだ。いまや東日本大震災の被害のかなりの部分が「人災」と化しつつある。政府の逆判断が、どれだけ国民を不幸にしているか。菅政権には猛省を促したい。(村)

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