欧州連合(EU)は12日、アラブ革命によって増加する北アフリカからの難民流入に対応するため、加盟国間の国境審査相互撤廃を定めた「シェンゲン協定」を見直すことになった。15日付読売新聞が伝えている。

1995年に発効したシェンゲン協定は、EU域内で国境を越えるたびにパスポートや税関審査を受けなくても済むというもの。統一通貨ユーロに加え、同協定により人の往来と物流の円滑化が進んだことで、「人、物、カネ」がEU内を自由に循環できるようになり、欧州統合を支えていた。

今回の改定のきっかけは、1月のチュニジア政変後、多くのチュニジア人が地中海を小舟で渡ってイタリアに入国し、シェンゲン協定を利用して無審査で旧宗主国フランスに渡ろうとしたのをフランスが警戒したこと。4月下旬にイタリアとフランスが欧州委に協定見直しを要請したことから今回の協定見直しになった。これにより各国は、港や陸上の国境におけるパスポートや税関審査などを再開できるようになる。

言語も文化も多様性を持つEUは、基本的に経済的な利益で結びついた弱者連合の側面が強い。今回の見直しによる「移動の自由」の縮小は、利害を中心とした結びつきのもろさを示していると言える。ユーロの限界が露呈したことに加え、シェンゲン協定の後退がEU崩壊への歩みを更に推し進めるか、今後の動向に注意が必要だ。(司)

※現在、デイリーニュースクリップは無料でお読み頂けます。近日中に有料購読に移行予定です。

【5月15日分ニュースクリップ一覧】
トモダチ作戦を否定する朝日新聞の意見広告
猛反発の中、宮城県知事が漁業自由化構想 株式会社の参入認め、漁業を再建
中国、イラン、北朝鮮の実質的同盟関係が露呈
やっぱり増税案を打ち出した復興構想会議
EUが「移動の自由」を見直し