「中国は他国からの敵意など恐くない」。中国の外交報道官は今週そう述べると共に、自国へのいかなる内政干渉も許さないと米国に向けて警告した。人権問題に関する中国の対外姿勢が強硬になっていることを、28日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューンがいくつかの観点から伝えている。以下、概要。

・ ウィキリークスは、人権問題をめぐるオーストラリアと中国の対話についてオーストラリアが米国と交わした外電を入手した。豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドが掲載したその内容によれば、中国代表団は2007年、オーストラリア側から具体的な人権侵害問題について問われると、「あなた方には中国式の冗談が通じない」と言って批判をかわしたり、オーストラリア側の情報が不正確だとして退けたりした。また、しばしば一方的に長広舌を振るい、時間切れに持ち込もうとした。

・ 北京のある人権派弁護士は言う。「内面(うちづら)は強面(こわもて)に振る舞い、外面(そとづら)は何も知らないように振る舞うというのが、中国の国家的方針だ。当局は、中国が法の支配する国だと言っているが、実際は、状況は絶望的になる一方だ」

・ 米オバマ政権は、人権問題と中国の通貨問題や米中貿易問題を切り離そうとしている。クリントン国務長官は今月、中国国内の反体制派弾圧について「深く憂慮している」と述べたが、彼女も2009年の初の訪中以来、人権問題と米中の経済問題は別々に考えるべきだと主張してきた。だが欧米の外交筋の間では、「米国とその同盟国は、そろそろ中国の人権問題について圧力を加える新たな道を探し出すべきだ」との議論が高まっている。

人権問題をめぐる中国の対外姿勢を見ると、「相手の心は変えられない」という法則があるのを思い出す。他国から正面切って「人権重視に変われ」と言われても中国が老獪な対応に終始し、おいそれと変わらないのは周知の事実だが、人権侵害が人類の普遍的な価値観に反することを粘り強く訴えつつ、長期的に自国の発展そのものにとっても不利に働くことを理解してもらう必要があるだろう。(司)

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