原発の今後に関する各メディアの世論調査で意外な結果が出た。

連日、メディアが原発の危機を訴えているにもかかわらず、ほとんどの調査で「廃止・減らす」と答えた人より、「増設・現状維持」と答えた人の方が圧倒的に多かった。20日付の東京新聞で主な世論調査の結果をまとめている。

例えばフジテレビは「廃止・減らす」が38.4%だったのに対し、「増設・現状維持」が57.8%。

朝日新聞は「廃止・減らす」が41%で、「増設・現状程度」が56%だった。

共同通信は、「廃止・減らす」が46.7%と、「増設・現状維持」の46.5%をわずかに上回った。そのほか、読売、テレビ朝日、NHKともに、原発容認派の方が多数を占める結果となった。

電力供給の3割を原発が占めている現状を思った以上に冷静に受け止めている国民の姿が改めて浮き彫りになった形だ。

興味深いのは、この調査結果を受けて、脱原発を訴える識者たちが、うろたえ気味のコメントを出していることだ。

「福島で起きていることをまじめに、真剣に受け止めるのがつらいからではないか」(作家・高村薫氏)

「御用学者が原発は安全という。これを額面通りに受け止めているのではないか」(ジャーナリスト・斎藤貴男氏)

「事故の重大性がよく周知されていないからではないか」(精神科医・なだいなだ氏)

「原発が必要とのキャンペーンが効きすぎている」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)

「停電」という現実生活の不便に対して、早く便利な生活に戻りたいという切実なニーズが、今回の原発容認の背景にあるのかもしれない。また、脱原発を訴える人たちに、これという代替案が見られないことも、脱原発の支持者が思う以上に広がらない理由に挙げられるだろう。

原発については、現実を見据えた上で、建設的な結論に答を導いていく必要がある。(村)

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