日本の震災とそれに伴う原発事故で、日本経済と原発の未来について悲観論が広がるなか、6日付ウォール・ストリート・ジャーナル(日本版)が楽観論を展開している。

同紙が英投資顧問会社クロスブリッジ・キャピタルの投資サービス責任者のマニシュ・シン氏に行なったインタビューで、以下の主張を展開している。

・ 地震は日本経済にとって「サプライ・ショック」となる。

・ 日本のGDPが3%落ち込んだ場合、世界の総生産は0.3%下押しするが、世界的な景気後退をもたらすほどではない。

・ 日本市場は、長い間「バリュートラップ」(割安だが値上がりしない株の罠)であった。

・ 阪神大震災の時は、日経平均が5ヵ月半で25%下がったが、その後1年で56%反発した。

まさにこの考え方が、いま日本市場に多くの外国資金が流入している原因だろう。

また、同日の同紙では、マサチューセッツ工科大で原子力科学部学部長を務める記者が、原発についても前向きのオピニオンを展開している。

その主張のポイントは、「現在の自動車と1911年のフォードのT型モデルと同じような差が、現在活躍している軽水炉と2100年の原子力発電所の間にみられるだろう」というコメントに象徴される。つまり、技術の進歩によって、現在の問題はクリアできるというわけだ。そして、「今は、原発業界が守勢を固める時ではない」として、技術の安全性を高めるべきだと主張する。

日本のメディアは、不安を煽る報道ばかりが目立つが、現実を見据えながらも冷静で前向きな議論が必要だろう。(村)

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