リビアへの軍事介入で27日、米軍が主導する多国籍軍から、仏英が主導する北大西洋条約機構(NATO)に軍事行動の指揮権が移った。だが、米軍の消極姿勢に加えて、介入の建前が「市民の保護」であることからその舵取りは難しく、今後リビア情勢が泥沼化する可能性も出てきた。

19日時点では、「武器の禁輸」「飛行禁止空域の維持」「市民保護のための空爆」などの指揮権は米軍にあったが、27日にはすべての指揮権が仏英の主導するNATOに移った。今後米軍は、衛星情報の提供やリビア軍の通信妨害など「補佐役」にまわり、1~2週間以内に兵力を大幅に削減する方針という。

また、今回の武力行使を容認した国連安保理決議は、「カダフィ政権の打倒」が目的ではなく、あくまでも「市民の保護のため」と規定している。このため、反体制派の市民がリビア政府軍やカダフィ派の市民と衝突したとき、NATOは介入の決断を迫られる。「作戦終了の『着地点』がはっきりしない中、戦況の泥沼化に巻き込まれる可能性もある」(28日付毎日新聞)。

「世界の警察官」の米国の腰が引けた中でNATOはどこに着地点を見出すか。(格)

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