福島第一原発の不安定な状況を受け、米政府は16日、被災地支援にあたる米海軍などの要員に対し、同原発から80キロ圏内への立ち入りを禁止した。さらに17日、同圏内の米国人にも退避勧告が出され、英独外務省も自国民に避難を呼び掛けている。

海外では同原発に関し、日本政府の対応への批判が高まると共に、混乱が広がっている。国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長やドイツのメルケル首相が関連情報の不足に懸念を示したほか、中国やロシアなどの近隣諸国では、避難用の航空券や被ばく対策のヨウ素が買い占められていると各紙が報じている。

原発の問題は国際社会への影響が大きいため、対応の不備に批判が集まることは当然だろう。米軍の活動範囲が狭まったことで、被災地支援の遅れも懸念される。日本政府が情報を隠ぺいしているとまでは言わなくとも、東京電力との意思疎通が上手くいかず、情報開示が遅れ、指示系統も混乱していることは確かだ。

政府は15日と17日、同原発における作業員の被ばく限度を引き上げる異例の措置を行い、現地では高い放射性濃度の中、自己犠牲とも言える懸命の作業が続けられている。政府が対応を誤ることなく最悪の事態を回避し、国際社会の信頼を回復することができるよう、最大限の努力が望まれている。(由)

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