米国の財政赤字と債務が外交政策にどう影響を及ぼすかにつき、フォーリン・アフェアーズの最新号で、American Power and Profligacy(アメリカのパワーと財政赤字)という演題で米外交問題評議会において政治学者マイケル・マンデルバーム氏が答えている。彼は、昨年Frugal Superpower──America’s Global Leadership in a Cash-Strapped Era(つましい超大国──財政難時代のアメリカのグローバル・リーダーシップ)という本を出している。

・ マンデルバウム氏は、米国を「つましい超大国」になぞらえ、外交は財政問題の巻き添えになって犠牲にされるという。有権者はより多くの税金を支払いながら、政府によるサービスが減り、外交政策に政府が資金を投じるのを好ましいと思わなくなる。

・ 今後米国が国家建設の任務を引き受けることはないだろう。冷戦後20年間はひとつの時代としてとらえられるが、その時代はいまや終わりを迎えている。

・ だが世界が経済だけでなく、安全保障面でも、ある程度うまく機能しているのは、世界の経済と軍事にコミットしている米国の積極的な外交政策によるところが大きい。

・ 米国の外交政策を非難する国々も、強すぎる米国よりも、弱い米国のほうが問題だと気づくだろう。

・ 同ミーティングに同席していたロジャー・アルトマン氏(元米財務副長官)も、緊縮財政が世界の統合と安定に寄与するグローバルな公共財を提供できなくなることに危惧を覚えているが、その役割を新たに引き受けようとする国が出現するとは考えられないと述べている。

2012年の大統領選後に米国が財政赤字に取り組むようになったとき、日本に危機が訪れる。(HC)。


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