日本でも世界でも、今の局面で財政再建すべきか否かの論争が平行線をたどっている。財政再建論の典型例が、月刊誌「選択」3月号の吉野直行・慶応大教授のインタビューだ。

「国債が市場で消化できなければ、財政はたちどころに破たんする。そうなれば、かつての韓国のようにデフォルト(債務不履行)を宣言し、IMFの管理下に入ることになる」。日本の個人金融資産は住宅・自動車ローンを引くと約1050兆円。現在の国債残高と同水準で、もう国債を買い支えられないという主張だ。

まったく逆の主張もある。例えば、経済評論家の上念司氏は正論4月号で、消費税増税による財政再建の狙いを、やや過激な表現でこう指摘する。「レーニンが示した『敗戦革命→社会主義化』という恐ろしい陰謀が見え隠れしている」「デフレ下で増税すればさらに景気は悪化するので、ますます政府に持ち込まれる不良債権は増え、国有化にも拍車がかかるだろう」(政府系金融機関からの企業への融資が焦げ付いた後、政府が債務を株式に交換させ、その企業の大株主になる)

つまり、財務省など増税論者は経済危機を意図的につくり出して、国有化すなわち「社会主義革命」を目指している、というのが上念氏の見方だ。財務官僚はもちろん否定するだろうが、彼らが大学時代に勉強したマルクス経済学が深層心理で影響を与えているのかもしれない。(織)

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