中国の温家宝首相は5日、全国人民代表大会で行った政府活動報告の中で、少数民族問題に関連して宗教の管理を進めることを宣言した。6日付産経新聞が伝えている。中国からの民族独立を目指すウイグル族はイスラム教徒、同じくチベット人はチベット仏教徒であり、両者の宗教的アイデンティティは民族独立問題と深く結びついている。

温首相は「共産党の宗教事務に関する基本方針を全面的に貫徹し、宗教事務管理条例を掘り下げて実行に移す」と述べた。同条例の第3条は「宗教団体や信者は憲法、法律、法規、規則を順守し、国家統一、民族団結、社会の安定を維持しなければならない。いかなる組織、個人も宗教を社会秩序の破壊に利用してはならない」などと規定している。

この条文の根底には「政治組織や社会秩序は宗教に優越する」との思想が見てとれる。だが、社会や国家が人間活動の産物であるのに対し、宗教は神仏の心を教えるものである。つまり「政治が宗教に優越する」というのは「人間のほうが神仏より偉い」という倒錯した論理であり、神仏の存在を否定する世界的少数派の唯物論にすぎない。幸福の科学の大川隆法総裁は先日ネパールのカトマンドゥで行った説法で、地元参加者からの「政治と宗教のあるべき関係は」との質問に対し、「宗教は政治、経済、文化、哲学などをすべて包含するものであり、その意味で宗教のほうが政治より先なるものである」と答えている。

中国は19世紀の「太平天国の乱」など、宗教パワーによる革命運動を何度も経験してきた国だ。今回の宗教管理強化も、宗教こそ社会変革の強力な担い手であることを中国が骨身に染みて知っていることの表れだろう。(司)

【参考記事】リバティ2008年3月号「潜入 キリスト教地下教会をゆく!」 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=509

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