「クールジャパン機構」が540億円の赤字で、統廃合の本格検討へ ─ 政府のエンタメ戦略には「大きな政府が失敗する理由」が満載
2026.06.25
画像:soraneko - stock.adobe.com
《ニュース》
日本のアニメなどのコンテンツ産業を海外に広げる目的で設立された官民ファンド「クールジャパン機構」が24日、2025年度の決算で累積赤字が540億円に上ったと公表しました。
《詳細》
クールジャパン機構(正式名称「海外需要開拓支援機構」)は、安倍政権の2013年に設立され、「官の資金を呼び水に企業の投資を促し、経済成長につなげる」という成長戦略の柱の一つとして位置づけられてきました。25年度末時点で、出資金1513億円のうち1406億円を政府が出しており、これまでに83件、総額2040億円の投資を決めています。
官民ファンドは投資に対するリターンの回収が必要ですが、同機構は設立以降、赤字を積み増し続けていることが問題視されていました。そしてこのほど公表された25年度の収支では、売上高が前年度比88%減の44億円、純損益が156億円の赤字を計上。機構はこれまで、累計損益の目標赤字額を426億円に収めるとしていましたが、今回、目標達成に失敗したことを受け、経済産業省は統廃合に向けた検討を本格化するといいます。
経産省は、25年度に赤字を膨らませた要因の一つとして、バイオ繊維開発のスタートアップ企業「スパイバー」の失敗を挙げています。140億円もの出資を受けた同企業は、販売不振などに陥り、3月に私的整理に入りました。
クールジャパン機構の累積赤字については、さまざまな原因が指摘されています。その一つが、「領域を広げすぎた」ことです。
設立当初は、アニメやマンガといったエンタメに注力していましたが、同分野にはすでに多くの民間投資が集まっていたため、機構は「ライフスタイル」や「食」といった分野にも投資を拡大。25年11月時点の投資状況は、エンタメなど「メディア・コンテンツ」(27%)よりも「ライフスタイル」(36%)の方が大きくなっていました。前出のスパイバーも繊維企業であり、エンタメとは関係ない産業です。
青山学院大の八田進二名誉教授は、機構の失敗について、「『イケイケどんどん』で安易な投資を繰り返し、損失を膨らませていったのではないか。投資ファンドにはプロの『目利き』が絶対的に必要だ」と指摘しています(2026年6月2日付東京新聞)。
《どう見るか》
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