保育所の待機児童が3年前に全国最多だった横浜市が、「待機児童ゼロ」を達成したと20日発表した。ワースト1から3年で一気にゼロにした「秘密」に、全国自治体から注目が集まっている。21日付各紙が大きく報じた。

横浜市の待機児童数は、2010年4月時点で1552人と、全国市町村で最多だった。09年に就任した林文子市長は、13年4月の待機児童ゼロを目標に掲げ、大幅に予算を増加。特に力を入れたのが、企業の参入促進だった。保育所新設の際の補助金も、社会福祉法人と同等に企業に配分した。

その結果、この3年間で企業経営の認可保育所が79カ所増え、152カ所となった。これは全体の4分の1にあたり、全国平均の企業参入率1.6%を大幅に上回る。

近年、共働き家庭が増えるにつれ、待機児童の増加が大きな問題となっている。そこで政府も企業の参入を自治体に求めていたが、自治体からは反対の声が多かった。

反対の大きな理由は、「保育の質が落ちる」ということだが、裏の理由として、すでにある保育所を運営する社会福祉法人や保育士の既得権益を守ろうという動きがあったのは確かだろう。

だが、民間だから質が落ちるという発想自体が、時代遅れの発想だ。横浜の林市長はダイエーのCEOや日産自動車の執行役員を務めたカリスマ経営者でもあったから、企業の参入こそ根本解決策であると見抜き、一気に待機児童を解消できたのだろう。

横浜市の「快挙」に対して、政府は他の自治体にも「見習ってほしい」と呼びかけているが、企業の参入に及び腰の自治体は多いという。だが、既得権益を守るのではなく、新たな企業の参入こそ、保育を活性化させ、女性の働く力をパワーアップさせるカギだと知るべきだろう。

「保育士の不足」も大きな問題で、17年度には7万人以上が足りなくなるという。しかし、これも前向きに考えれば新たな雇用を生んでいく。大きな目で見て、女性パワーの活用が経済成長につながることを、他の自治体も見据えて、企業の保育所への参入を増やすべきだ。(仁)

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