消費増税を目指していた安倍晋三首相のスタンスに変化が見られる。株価の上昇などで国民に支持されている経済政策「アベノミクス」は、宗教政党・幸福実現党の経済政策を下敷きにしてきたことはこれまでも本欄で伝えてきたが、消費増税に慎重な姿勢も、同党の影響を受け始めたように見える。

安倍首相は27日の参院財政金融委員会で、来年予定されている消費増税について質問され、「何が何でも上げるという姿勢ではない。税収が上がらなければ元も子もなく、景気そのものに悪影響を及ぼすことになっては本来の趣旨に反する」と、慎重な考えを示した。消費税を上げることでせっかく上向き始めた景気に水を差すことを避けたいという考えが見てとれる。

もともと自民党は、民主党に先駆けて消費増税を訴えており、昨年8月の消費増税法案成立時にも、大きな役割を果たしてきた。しかしここにきて、安倍首相が「税収が上がらなければ元も子もない」と言及したわけだが、この論点は、消費増税に反対する幸福実現党の「消費税率を上げても、税収は増えない」という主張と重なる。実際に、過去の税率アップ後には税収が落ち込んでいる。

アベノミクスを代表する、「インフレターゲット2%」「金融緩和」などの金融政策についても、幸福実現党が2009年の立党時から訴えている主張と極めて似通っている。ちなみに、09年の衆院選マニフェストに同党は「3%程度のインフレ目標値を設定」と明記していたが、自民党は触れていなかった。

また、国防面においても、安倍首相は最近、「敵基地の攻撃力」について言及したり、「集団的自衛権の行使」などに向けて積極的に動き始めているが、これらについても幸福実現党は立党当初から「正当防衛としての敵基地先制攻撃」や「集団的自衛権の政府解釈の見直し」を主張していた。

安倍首相は、アベノミクスや国防のみならず、消費税でも幸福実現党の政策を後追いしつつある。これほど似通った政策を打ち出すのであれば、同党に"授業料"を払ってもいいのではないだろうか。(居)

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