「株式時価総額1兆円以上」の企業が20日で72社となり、民主党政権下の昨年11月中旬の47社から5割以上も増えました。1位はトヨタ自動車(約16兆6千億円)、2位は三菱UFJホールディングス(約7兆5千億円)、3位はホンダ(約6兆3千億円)で、新しくユニ・チャームや富士重工業などが加わりました。21日付毎日新聞が報じています。

株式時価総額とは「株価×発行株式数」のことで、「会社の値段」を表します。株式会社は、資金を調達するために株を売りますが、売買の単位や発行数は会社によって異なるため、会社の値段を単純に株価で比較することはできません。ですから、「会社の値段」を比較する際に、一般的に株式時価総額を比較するのです。

株の買い手は、将来値上がりする株を購入しようとするため、成長が見込まれる会社や人気のある会社の株価はどんどん値上がりしていきます。株価が上った会社は、その分だけ新たに資金を調達できます。また、「時価総額」は、銀行が会社にお金を貸す際の指標となるため、融資も受けやすくなります。こうして企業は事業を起こし、拡大していくことができるのです。

ところが、これまで日本では、株価が上がるとそれを下げようとする力が働いてきました。90年代初めには、政府・日銀が土地取引の規制や金融引き締めを行った結果、バブル崩壊が起こり、企業の株価が軒並み下がりました。2000年代に再び好景気が訪れた時も、株式上場の基準が厳しくなったり、金融引き締めで資金の流れを悪くした結果、再び不景気になってしまいました。

しかし、時価総額の高い会社が増えなければ、日本経済は成長しません。時価総額が下がれば、企業の資金調達がとどこおり、銀行が不良債権で倒れるなどして、経済が低迷していくのです。

日本には成功者を祝福するのではなく、引きずり下ろして標準化しようというカルチャーがありますが、今、これを乗り越えなければなりません。今、景気は回復傾向にありますが、間違っても、3度目の「バブル潰し」をしてはなりません。長い不況から抜け出すためにも、将来性のある優良な企業の時価総額が上がっていくことは、肯定するべきなのです。(晴)

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