本誌連載中のNPO「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」代表・井澤一明氏の新刊『いじめは犯罪!絶対にゆるさない!』(青林堂刊)が発売された。23日以降、全国の書店に並ぶ予定。いじめ解決のためのノウハウが具体的に凝縮されており、教育界にはびこるいじめ隠蔽と闘うにも、大変心強い実践の書である。

著者の井澤氏は、2007年から「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」に携わっており、各地で教育委員会や県の後援による講演会や、数多くの学校で講演活動をしている。今年7月の大津いじめ事件以降、いじめ解決の専門家として、多数TV出演をしている。「ザ・リバティ」本誌でも、連載記事「いじめは必ず解決できる」を執筆中だ。これまで電話相談や各地講演会での相談、インターネットの掲示板やメール相談で、いじめ解決の経験を積んできた。3000件を超える相談を受けた中から抽出した「エキス」が本書である。

井澤氏らが学校で行っている「いじめ防止授業」を再現した章では、いじめと闘うための武器として、「いじめに対する考え方」を挙げている。さらには、いじめ解決のノウハウを持つ教師の体験や、親が学校のいじめ隠蔽工作と戦う際に役立つQ&Aも載っている。

教育界のいじめ隠蔽工作は根が深い。井澤氏は、今回の出版について本誌に次のように話した。

「実は、学校のいじめ隠蔽工作に打ちのめされ、子供だけでなく親御さんまでが精神的に傷つくケースがかなりあります。これまでホームページでいじめ解決のノウハウを発信してきましたが、それだけでは足りないと感じ、本の出版に至りました」

井澤氏は19日付毎日新聞夕刊でも、自民党が公約とした「いじめ防止対策基本法」について「集票目的のアピールに終わらせず、政策に結びつけてほしい」とコメントしている。同じく、いじめへの対応を促すと、動く学校と動かない学校とが明確に分かれていることを問題視し、「政治が主導して現場に対策を徹底させるべきだ」と話している。

学校現場や教育委員会の組織的ないじめ隠し・いじめ不対応はいまだに後を絶たない。この本を読めば、いじめに苦しむ親子が、そうした隠蔽体質の学校で二重・三重の苦しみの中にあることが分かる。いじめに苦しむ親子のみならず、教育行政関係者や学校の教師にも読んでいただきたい一冊だ。(晴)

【関連サイト】

いじめから子供を守ろう!ネットワーク

http://mamoro.org/

『いじめは犯罪!絶対にゆるさない!』いじめに悩むこどもたち、お母さんたちへ

http://amzn.to/12DUiEk

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