デフレ脱却に向けて自民党が打ち出した積極的な金融緩和に対して、民主党側が執拗に批判している。野田佳彦首相は25日のテレビ出演の中で、自民党の政策について「危ない考え方」などと述べた。

しかし、これまでのお粗末な経済運営を見れば、民主党に金融政策を語る資格がないのは明らかだろう。中でも、為替介入の失敗が際立っている。民主党政権は昨年、10兆円以上のお金を市場に撒いて無理やり円安に誘導しようとしたが、円高は止められなかった。

欧米の中央銀行に比して、日銀が十分な金融緩和を行わずにデフレを放置していることが、過度の円高を招いている。しかし、民主党政権は問題の対処を根本的に誤った。日銀に金融緩和を迫る代わりに、10兆円以上の国民の血税を効果のない為替介入に費やして、「ドブに捨ててしまった」のだ。

為替介入に空費した10兆円は、もっと別の使い道があったはずである。10兆円あれば、復興予算を賄うこともできたし、消費税増税も要らなかった。もしギリシャに貸し付けていたら、欧州危機も食い止めることができたはずである。

自民党の金融緩和を批判する前に、10兆円もの国民の血税の使い道を誤ったことについて、民主党政権は深く反省をしなければならないと言える。また、民主党政権が10兆円を費やしてもできなかった超円高の是正を、安倍総裁は「金融緩和をする」というアナウンスだけで、1円も使わずに行った。これほど、民主党の経済音痴を如実に表すものはない。

一方で、自民党の政策にも限界はある。200兆円の公共事業によって「国土強靭化」を行うとしているが、建設業者などに利益誘導を行ういわゆる「旧い政治」との違いが、見えてこないからだ。突き詰めれば、民主党は増税と福祉によるバラマキで景気低迷を招くが、自民党にしても公共事業によるバラマキである。景気を回復させられても、その後の日本経済を発展させるビジョンを打ち出せていない。

その点、持続的な経済成長への先行投資を打ち出しているのが、幸福実現党である。同党は金融緩和に加えて、200兆円の公共投資を行い、リニア新幹線を含む交通インフラや、宇宙産業、防衛産業、エネルギー産業、都市再開発などに積極投資し、新たな産業を育成するというビジョンを打ち出している。そもそも自民党の掲げる金融緩和も、「200兆円投資」も、幸福実現党の政策を自民党が真似したものに過ぎない。

金融緩和を否定してデフレを長引かせ、日本を貧しくする民主党は論外だが、自民党も長期戦略に欠ける。景気回復の先の日本経済の成長についてもビジョンを示せなければ、責任政党とは言えないだろう。

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