自民党の安倍晋三総裁の提案した金融緩和案が議論になっている。

中でも、25日付産経新聞で指摘した同紙編集委員の田村秀男氏の分析が興味深い。

田村氏は、日本のGDP(国内総生産)が521兆円でピークを記録した97年度と2011年度とを比べて分析している。それによるとこの14年間で、公共投資が18.3兆円、民間企業設備投資が16.1兆円、純輸出が13.4兆円、民間住宅投資が9.2兆円、家計最終消費支出が4.5兆円減ったという。一方、政府最終消費支出が15.2兆円も増えていると指摘する。

この政府最終支出のうち約15兆円は、政府による医療・介護機関への支払いなど社会保障関係の現物給付だ。

税収が減り続けているのに、社会保障支出を増やし続けた14年間であったわけだ。稼ぎがないのに、支出を増やして、財政が持つわけがない。

それを消費増税で埋めようとしても、消費税の増税自体が民間の経済の活力を奪うため、かえって税収が減る可能性が高い。

今必要なのは、民間の投資や消費を促す政策だ。

従って安倍総裁が訴えている「無制限の金融量的緩和」「ゼロからマイナスの政策金利」「2~3%のインフレ目標」は正論だと、田村氏は訴える。

さて、ここで繰り返し主張しておきたいのは、この安倍総裁の主張は、幸福実現党が2009年のマニフェストですでに明確に触れているということだ。

「幸福実現党2009年8月主要政策」にはこうある。

「金融政策として、3%程度のインフレ目標値を設定します。ゼロ金利の導入や、さらなる量的緩和を速やかに進め、潤沢な資金を市場に供給します」

この幸福実現党の3年前の提案とソックリそのままの安倍総裁の提案は、現在、将来のインフレ期待と円安期待をもたらし、株価を急上昇させている。

これを3年前に実行していたら、この3年半ほどの「民主党不況」はなかったのにと悔やまれるばかりだ。(村)

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