沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の領海に25日早朝、中国の海洋監視船「海監」4隻が侵入した。日本の海上保安庁の巡視船の警告に対し、海監は「ここは中国の領土である」と無線で応答したという。中国の公船は20日以降、4日連続で接続水域で航行するなど、尖閣周辺の航行を常態化している。

中国が日本近海で横暴な振る舞いをしている間、日本とアメリカは自衛隊と在日米軍共同の離島奪還訓練を見送るなど"迷走"を続けている。本欄でも紹介したが、訓練の見送りは、米兵による暴行事件を受け、地元・沖縄の県民感情に配慮したようだが、もう一つ、中国に配慮したという面もあるようだ。

24日付産経新聞によると、日米両政府内には当初から訓練に対する慎重論があり、防衛省と米国防総省は「淡々と行うべき」という立場だったが、外務省と米国務省には、日中関係に与える影響を懸念する声も多く、米国務省は一時、訓練の中止を主張していたという。

アメリカは11月6日に大統領選を控えており、外交上、中国と事を構えるのを嫌っているように見えるが、日本にとっては領土を奪われるか否かの死活問題だ。訓練するか否かについて、野田佳彦首相は、ホワイトハウスに判断を丸投げしていたという報道もあるが、尖閣海域の問題について主体的に動かなければならないのは日本であることは当然である。

米大統領選では、オバマ大統領もロムニー候補も、中国に対しては毅然とした態度で臨む姿勢を見せている。だが日本政府は、アメリカが財政赤字による国防費の削減は避けられない上、米国債を大量に保有する中国との関係についてはその時々の政治判断で変わるという前提で、外交を進めなければならない。

日本政府は、「自国の安全は自国で守らなければいけない」という当たり前のことを理解していないようだが、この状況を見て笑っているのは、中国共産党政府だ。中国政府は、尖閣の国有化に対して怒りを表明しているが、中国が怒るか否かにかかわらず、日本は自国を守るために、日米同盟を強化しつつ、早急に核武装議論や憲法9条の改正を進めなければならない。(居)

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