中国海軍のミサイル駆逐艦など7隻が16日朝、与那国島-西表島間の接続水域を通過、尖閣諸島を航行した。7隻はフィリピン沖・南シナ海から航海してきた。17日付各紙が報じた。

日本西端の接続水域で中国海軍艦艇の航行が確認されたのは初めて。外務省の杉山アジア大洋州局長は中国の韓駐日公使に、「日中関係の大局に鑑み、適切な対応を求める」と申し入れたが、中国国防省は「通常の訓練と航行であり、正当で合法だ」と平然と反論した。

国際連合憲章第2条4項にはこうある。「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」

仮にも国際連合の常任理事国である中国が、国連憲章を無視して武装した艦船で威嚇しておいて、「正当で合法だ」とはどういうことか。

今月2日にアメリカ海軍は「ジョージ・ワシントン」と「ジョン・C・ステニス」の空母を西太平洋に展開させるという異例の措置をとった。中国海軍は今年の4月と6月に日中中間線を越えて艦艇を東シナ海に派遣。今回の西太平洋~南シナ海間航行も、米2空母の展開に対抗し、戦力の分散を狙う目的で行ったものと見られる。中国は「我々は太平洋、南シナ海、東シナ海のどこにでも艦艇を派遣できますよ」というアピールをするのが目的のようだ。

振り返ると2009年3月、南シナ海の公海上で中国艦船と米海軍調査船との小競り合いがあった。中国船は米調査船に強い照明をあてたり、木材を進路上に投げ入れたりするなどの嫌がらせを繰り返した。各国の艦船の通過が認められている公海上にもかかわらず、中国側は「米船は中国の許可を得ずして排他的経済水域に侵入した」と言い張った。

日本も中国に倣って、排他的経済水域内に入った中国艦船に対しては、しっかり妨害措置をとるべきだろう。(悠)

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