日米両政府が19日までに、11月に予定していた自衛隊と在日米軍共同の離島奪還訓練を見送る方向で調整に入ったことを、20日付沖縄タイムス(オンライン版)が報じている。

記事は、「地元からの反対が主な理由だが、米兵による暴行事件を受け県内で日米両政府への不満が高まる現状への配慮も要因の一つとみられる」としている。

予定していた離島奪還訓練は、11月5日から16日まで、沖縄県渡名喜村の入砂島で、島が敵に占領されたというシナリオで、ボートに分乗して、海上から島に上陸する作戦や敵部隊の襲撃など。訓練を通じて日米の共同対処能力を高め、尖閣諸島をめぐり、高圧的な姿勢を強める中国を牽制する狙いがあった。

かたや中国は、先日発表していたこの日米離島奪還訓練の実施に対して、「アジア太平洋地域の平和の潮流に合致しない」と批判。19日には、その日米両国を牽制する形で、東シナ海で堂々と合同演習を実施した。演習は、領土主権と海洋権益の維持能力を高めることが目的。中国海軍の主導で、国家海洋局、農業省漁業局などの艦船11隻と航空機8機が参加、1000人規模の訓練は近年で最大規模という。

この「日米の訓練自粛」と「中国の大規模訓練」について、日本人は危機感を持つべきである。

16日には、中国海軍のミサイル駆逐艦など7隻が、与那国島―西表島間の接続水域を通過し、尖閣諸島を航行するなどしたが、日本が国防上の危機に瀕していることは明らかだ。

米兵の暴行事件はあってはならないし、再発防止に尽力すべきだが、だからと言って「米軍は沖縄から出ていけ」ということとイコールではない。沖縄の人々の感情に配慮し続けた結果、日本が中国に占領されました、では本末転倒である。

全国で公開中の映画「神秘の法」(製作総指揮・大川隆法)では、憲法9条に縛られる日本政府が、隣国の独裁国家に侵略を許す姿が描かれているが、現在の日本も、冷静に事の大小を判断していかなければ国が滅ぶ。

警察官の不祥事があったからと言って、「警察はいらない」ということにはならないのと同じように、米兵の犯罪に対してはしっかりと対処する一方で、日米は粛々と合同訓練を実施し、中国の脅威に負けない準備をすべきである。(飯)

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