東南アジア諸国連合(ASEAN)と、日本、米国、中国、北朝鮮の外相らが12日、カンボジアの首都プノンペンで開かれたASEAN地域フォーラム(ARF)の閣僚会合に出席。アジア太平洋地域の安全保障について、米中が火花を散らした。各紙が報じている。

会合でクリントン米国務長官は、南シナ海で紛争が起きた場合の法的な枠組みである「行動規範」の策定を急ぐよう主張した。同海域の島をめぐっては、中国と一部のASEAN諸国(フィリピン、ベトナム、マレーシアなど)との間で領有権争いが続いているためだ。

これに対し、中国の楊外相は、策定時期について「条件が熟したときに」とかわし、「領有権の争いについては、当事者である2国間で解決すべき問題であり、この問題をARFに持ち込むことは適切ではない」とはねつけた。

中国には、米国の影響力を排除して、軍事的にも経済的にも劣るASEAN諸国との個別交渉に持ち込めば、簡単に南シナ海を「中国の海」にできるという計算がある。実際に、中国は、この会合までに周到な根回しを行っており、議長国のカンボジアなどは、事実上、中国の立場を支持している。

だが、この会合で、日本の存在感はほとんど感じられない。中国が尖閣諸島の周辺海域に船を派遣して挑発していることを考えれば、玄葉光一郎外相は、もっと東シナ海、南シナ海における中国の行動を批判し、国際社会に訴えかけるべきではないか。

また、国内では、沖縄の米海兵隊基地へのオスプレイ配備反対の声が大きくなっているが、航続距離の長いオスプレイが沖縄に配備されれば、東シナ海のみならず、南シナ海にもにらみを利かすことができる。つまり、中国の海洋進出を牽制するために、オスプレイは大きな役割を果たすのである。

日本人はもっと世界に目を向け、一党独裁国家が世界を支配したらどうなるか、この世界から「正義」や「自由」という価値が奪われたらどうなるか、ということに思いをはせるべきだ。大国となった日本には、どうすれば世界の人々を幸せにできるかを考え、行動する責任がある。(格)

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