11日、三菱航空機の江川豪雄社長は英国での航空ショーで記者会見し、国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナル・ジェット)」100機を米航空大手のスカイウェストから受注することで基本合意したと発表した。受注総額は約3300億円であり、2017年以降納入予定。

MRJは70~90席の小型飛行機で、プロペラ機のYS-11以降、約40年ぶりの国産航空機である。MRJの開発には経済産業省やJAXAも参画し、官民一体となって進めてきた。これまでに全日空や米航空会社などから130機を受注していたが、昨年6月以降は受注がなかった。

今回、大量受注に至った理由として、江川社長は「MRJの快適さや燃料効率への期待」と強調している。特に、独自開発されたエンジンには最新技術が使われており、大幅な燃費削減や騒音・排出ガスの削減などが実現した。スカイウェスト社は地域路線運行数で世界最大を誇ることもあって、三菱航空機側の採算ラインの計350~400機の受注に向けて弾みをつけた。

日本がもう一段の経済成長を遂げるため、航空業界への参入は不可欠だ。小型航空機市場だけとってもまだまだ成長が見込まれており、小型航空機の市場は、20年後には今の2倍以上になると考えられている。

しかし現在、世界の小型航空機市場は、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルの2社のほぼ独占状態である。他にない技術やコスト面・サービス面のメリットがあれば、新規参入の余地がある。

三菱飛行機は今後、アメリカに加え、アジアでの販路を拡大するため営業を強化する予定だ。昨年6月には香港の航空機リース会社からMRJ5機が受注されている。一方、中国企業もARJ21という同規模の小型ジェット機を開発しており、ラオス・ミャンマー・インドネシア等の航空会社が受注を表明している。

かつて世界一の戦闘機ゼロ戦を産んだ三菱が、満を持して作り上げたMRJ。その技術は世界でも折り紙つきであり、中国の航空機に性能で負けることはない。後は官民挙げての未来戦略をどう作るかである。今後も日本が航空・宇宙産業の様々な分野において世界一を目指していくことが期待される。(晴)

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