経団連のシンクタンク「21世紀政策研究所」がこのほど、2050年までの日本と世界の経済予測と提言を発表した。日本は少子高齢化で人口が減少し、2030年以降はマイナス成長となって、先進国から脱落するかもしれないという。

発表によると、現在、日本のGDPは世界3位だが、2050年にはインドに抜かれ4位に転落する。一方、米国、中国が日本の6倍規模の経済規模を持ち、1人あたりのGDPでは韓国に抜かれる。日本は、女性が子供を産み育てながら働くことのできる環境を整える努力をしてはいるが、効果は上がっていない。そこで、提言には「移民受け入れ基準の大幅な見直しなど大胆な解放も検討すべきである」とある。

これに先立つ2月、中川正春・少子化担当相は、移民政策について「人口政策だけでなく、どういう形で外国人を受け入れるか議論する時期に来ている」と述べているが、この点について、すでに本誌は、2008年7月号の「求む!外国人」で提言を行っている。

たとえば、シンガポールが、発がんメカニズムの研究で世界をリードしていた京都大学ウイルス研究所から、教授、助手、大学院生など計9人、研究室まるごとヘッドハンティングした例や、イギリスで、学歴、職歴、過去の収入などを点数化して基準を満たせば、永住のハードルが低くなる「頭脳移民」獲得策などである。

企業家や大学教授といった高付加価値を生む人材が、移住したくなるような魅力的な政策を打ち出し、積極的に受け入れることで、その国で相乗効果が生まれ、様々なイノベーションが起きるというわけだ。

もはや、単一民族だけで「労働鎖国」をするのは限界に来ている。多少の摩擦はあるだろうが、それは発展のためのコストと考えるべきだ。積極的に移民を受け入れる方向に舵を切り、日本が真の「開国」を果たし、更なる繁栄を目指すべきである。(純)

【参考記事】

2008年7月号記事 求む!外国人(1)

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=796

2008年7月号記事 求む!外国人(2)

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=801

2012年4月号記事 50年後日本の人口は8000万人台に "Newsダイジェスト"

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3876