「大阪維新の会」代表の橋下徹・大阪市長が29日、次期衆院選に向けて公約づくりを始めたことを明らかにした。これまで維新の会が掲げてきた「大阪都構想」や道州制だけではなく、外交・安全保障、社会保障改革と税制全般についても政策をまとめるという。

橋下市長は3月24日に「維新政治塾」を開講し、400人規模の塾生を集めることも表明している。次期衆院選では、この塾生を中心に300人程度の候補者を擁立し、200人議席獲得を目指している。

橋下氏の国政進出をめぐっては、様々な勢力がラブコールを送っている。

東京都の石原慎太郎知事は、国民新党、たちあがれ日本などと新党結成を模索しているが、都市重視の政策や保守的な考え方で共鳴し合っている。

大村秀章・愛知県知事も国政進出を目指しており、候補者発掘と養成のため、4月に政治塾「東海大志塾」を開設。愛知、岐阜、三重、静岡県を中心に100人規模の候補者擁立を目指している。

三者の連携が実現すれば東京、名古屋、大阪の「都市連合」となるが、加えて、みんなの党の渡辺喜美代表も橋下氏との距離の近さをアピールしている。みんなの党は次期衆院選で100人以上の候補擁立を目指すが、現時点では東日本に候補者が多く、関西が地盤の維新の会との補完関係を築いて全国的な戦いを展開しようとしている。

ただ、こうした二大政党に割って入る「第三極」形成は、世論調査で人気が高い橋下氏が頼みであることは間違いない。

橋下氏がどんな政策を打ち出し、どんな政権をつくろうとするかが焦点だ。政策については、これまでの言動からみると以下のような予測が立つ。

  • 「大阪都」構想などによる大都市制度の見直し。地域主権の推進。道州制実現。
  • 公務員改革。公務員の給与・ボーナス・退職金などのカット、公務員削減など。
  • 天下り法人の廃止。民営化推進。政府保有の資産売却。
  • 教員の君が代起立斉唱の義務付け。愛国心を重視する歴史教育。教育委員会改革。
  • TPP参加に賛成。
  • 米軍普天間基地の移設に賛成(日米同盟強化)。
  • 原発依存度を下げる(脱原発)。

気になるのは、中国・北朝鮮などからの国防上の危機が迫る中で、地域主権を強く志向している点と、エネルギー政策として脱原発を進めようとしている点だ。

いずれも安全保障上リスクが高い。橋下氏が地域政党を足場にする以上、どうしても国政を担う政党として限界が出てくると言わざるを得ない。(織)

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2012年2月号記事 マスコミを味方につけた橋下氏 "Newsダイジェスト"

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3588