北朝鮮の金正日総書記は20日から1週間ほどの日程で中国を訪問。胡錦濤国家主席とも会談し、6カ国協議の再開などで合意した。1年足らずで3回目となる金総書記の訪中は、北朝鮮の経済事情の困窮を物語るとともに、中朝間の同盟関係の強さも印象づけた。

脅威的な軍拡を継続する中国と、周辺国を恫喝する北朝鮮の結束に対しては、日本や韓国といった周辺国も連携を強化して対応するべきである。日本の菅政権は発足以来、日韓関係の改善に努めてきたが、27日付の中央日報では外交問題評議会の駐日研究員であるピーター・ベック氏が、正式な日韓同盟を発足させるべきだと論じている。

ベック氏によれば、日韓同盟は中朝に対抗する手段になるとともに、財政問題による駐日・駐韓米軍の削減への対応策にもなる。一方でベック氏は、菅政権の韓国に対する謝罪や、図書返却、靖国神社への不参拝表明を評価。「日本人は独島(竹島の韓国名)ではなく、韓国料理や韓流ドラマ、少女時代に凝っているのである」と述べ、竹島問題にも日本政府は目をつぶるべきだとしている。

東アジアの新冷戦に対応するための戦略的見地から言えば、日韓の同盟関係は望ましいことである。しかし、ベック氏の評価する菅政権の「謝罪外交」で同盟構築を推し進めれば、それは日本が韓国におもねり、ご機嫌を伺うだけのものになりかねない。主権領土を保全することは国家としての義務であり、そもそも竹島問題や歴史問題によって反日感情を煽り、政治的に利用しているのは韓国側であるということを忘れてはならない。

日中韓首脳会談では談笑し融和ムードを演出した菅首相だが、主張すべきことを主張せずにただ先方のご機嫌をうかがうだけでは、真の協力関係などありえず、ただ国益を害すのみである。

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